建物の「基礎」と呼ばれる部分は、重量のある建築物を支える役割を担っています。
日本の主要都市のほとんどは軟弱な地層であるため、大きな建物の場合その建物自体の重さによる沈下、地震もしくは地震で引き起こされた液状化などによる倒壊を防ぐ工事が必要となります。
例えば、プールの水面にビルのような縦型の箱を置くと、最初は浮いていたとしても水面が揺らいだ拍子にバランスを崩し水中に沈んでしまいます。それを根本から解決するには、箱の底に棒をつけプールの床に固定する必要があります。
実際の建物に置き換えれば、「水」が「軟弱な地層」、プールの床が「地中の岩盤」、そこまで達する「棒」が「杭」となります。また杭を構築するための工事を「杭打ち工事」といい、私たち井上基工では「アースドリル工法」を採用しています。
アースドリル工法を簡単に説明すると、重機を使って深い穴を掘り岩盤に到達させたらその穴を補修、引張り強度が高い鉄筋かごを設置した後、圧縮強度が高いコンクリートを流し込み、引張りにも圧縮にも強固な杭を実現させる工法です。
日本の土壌は、地質・地層が複雑なため、施工には知識と経験が必要となります。にもかかわらず、いい仕事をしても杭が人の目に触れることはありません。地上部の高さやデザインが評価されることはあっても、それを支える地中の杭の見事さを想像する人は多くはないでしょう。
中にはそれをもって、杭工事は誰にも評価されない仕事と思う方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。建物を支える基礎は、そこに集う人の生命・暮らしを支える基礎でもあるため、多くの関係者が技術力や取り組み方に注目しているからです。
基礎の役割は大きく工事は重大な責任を伴いますが、その大役を任されるという誇りもまた得難いものです。井上基工では、より良い施工の実現を目指し技術を研鑽することが、大切な基礎工事・杭工事を担うプロとしての役割だと思っています。